そもそも、今回上海で開かれるおフランスの親会社A社主催のミーティングの内容は、
どう考えても私の担当外。
ところが9月の休暇から戻ってきたら、いない間に支社長が勝手に私を会議に
アサイン、本社に報告してしまっていた。
それだけでなく、ミーティングの日は、半年前から決まっていた病院での大事な
検査の日。しかもミーティング翌週は1泊3日の強行軍でのオランダ出張が
既に入っている。半期締めのデータもやってくるし、
月末は会社のお引越しだからその準備も。冗談ではなく、病院のほうは行かないと
まずいんだが、と交渉してもなにしろ支社長が勝手に決めちゃったことである。
私の英人上司は、たいへんジェントルマンな言い回しながら
平たく言えば「死なないんだったら行って来い」と私に命令するほかない。
しかもミーティングは10日に開催なので9日に上海に移動しないといけない。
そう、国慶節休みの最終日。中国に向かうフライト全便が、完全ど満席の状態。
日本からはA社、弊社含めて総勢10数名が上海へ移動。
前任地で中国の管理も担当していた英人上司は、こんな時期にしかも上海で
アジア地域の社員を招集するようなことをするとは論外なこと、
と当初から航空券の調達について支社長と粘り強く交渉してくれていたが、
オランダ人支社長は平社員ごときに金をかけようなどとは考えない。
私が状況を説明すれば、しまいには「そんなにがたがた言うんだったら、
行かなくてもいい!」と逆ギレされる。
前職の先輩や友人から国内航空会社の最新情報を仕入れ、やっとのことで
お金を出して、でもNWの上海行きなら航空券を切ってよし、と許可させた。
この時点で、既に先月から続いている不調はひどくなるばっかりで、
そのうえ会社内に蔓延している風邪菌をしっかり移されてしまっていたらしい。
出発前日、明らかに全身から警告のサインが。
風邪薬とドリンク剤を荷物に詰め込んでおく。
さて、微熱でかったるい体をひきずって成田空港についてみれば、
上海行きNW25便は、週末荒れ狂った低気圧の影響で乗せ切れなかったお客が
後倒しになっているらしく、十数名のオーバーブックが出ているとか。
カウンターにたどりつくなり、「降りてください」と言われる。
訓練生のバッジつけてるくせにえらそーに何言ってんだ、これほどの
高額運賃払ってるエコノミークラスの客が他にいるってか、とムッとくるが、
こっちだって業界の先輩である。にっこり微笑んで、でも殺気を漂わせながら
「仕事です。明日の朝、上海で会議です」ときっぱり断言。
すると出てくる搭乗券。この程度で引き下がるくらいなら言うなよ。
ここで「手荷物に液体のものはありますか?」ときかれてえっ?となる。
さっき機内で飲むための水を買ったんだが。だって、上海行きでしょ?
「米系航空会社は、行き先を問わず液体類の持込禁止です」
最低。
仕方がないので、エビアンを洗面所で捨てる。
出国して、免税でマニキュアを買おうとする。前回出国時に品切れだった愛用品。
そして搭乗券を見た販売員から言われる。「NW便なので… 液体のものは…」
マニキュアでテロできるかよ!!
アメリカの無知な横暴に腹が煮えくり返るが、この時点で実は肝心のことに
気づいていない。風邪菌はまずアタマを蝕んでいたようだ。
搭乗口で、同じ便にのる営業部のミキティと人事部長に合流。
デトロイト発成田経由上海行きの機材は、見事に遅延到着。
NWで定刻出発しようなどとは思わないけれど、到着が夜かなり遅くなって
しまうので、嬉しいことではない。今回ひとりでないうえ、ミキティが
中国語の達人なので何があっても気楽ではあるけれど。
1時間遅れでやっと搭乗。なんとドアサイドで全員手荷物検査。
そう、今回私はピギーバックを預けず、機内持ち込みにしていたのだ。
ここで初めて「しまった!」と思う。係員のおっちゃんは見逃さなかった。
化粧水、シャンプー、右手靭帯切断の後遺症のための塗り薬チューブ。
くわっ、と怒りの形相になった私に係員、
「あ、でもジップロックに入れれば機内持ち込みできますから」
知らんわいそんなこと!なんでコットンの巾着袋ならダメで、
ジップロックならいいのよ!
「TSA(米国安全保障省)の決めたことなので…」そんなもん、持ってないわよ!
「あ、ここにありますから…」 だったら、早く出してよ!
せっかくきれいに入れてきた化粧品類を、わっしわっしとジップロックに
詰め替えてふたをする。
でもねえ、その横にあったカロリーメイトゼリーバッグとドリンク剤は
そのままなんですけど??
他国で、あやまって免税で買ってしまったシャンパンを持ち込めず、
仕方なく一気飲みしたという例もあるそうな。どう考えてもこれ、
テロなみに機内が危ないと思うんだが。
むかっぱらをたてながら機内に入れば、中国人が多くを占める客況。
インターネットチェックインの弊害なんだが、3人、4人連れの中国人が1列に
まとまって座ることができず、機内のしかも中央座席のあっちこっちに
点在することが多発。
だもんで、出発前、機内を中国人があっちうろうろ、こっちうろうろ、空いてる
荷物入れとみれば自分の土産の山をつっこみ、通路に留まって大声のおしゃべりに
終わりがない。乗務員ふたりがかりでやっとかなんとか閉めた荷物入れがあちこちに
あったけど、あれでは絶対耐荷重制限越えてるに違いない。
やっとミールが配られてくれば、
「アルコール類は5USドル、500日本円を払っていただきます」。
がっでむ。
こんな機内食や毛羽だった毛布、うるさい機内なんだから、酒くらい飲ませろよ!
知ってれば自分で持ち込んだのに、と思ってから気づく。液体類持込禁止じゃん。
私の中のアメリカ嫌いメーターが、レッドゾーンまで振り切れた。
隣に座ってた中国人のおばちゃんは、ロンシャンのバッグを持ってるのに
明らかに機内食の食べ方が分かってなかった。私がふたを開け、フォークを
取り出し、ドレッシングをかけるのをじーっと見てから自分も繰り返す。
まあ、何十年か前までは、日本人も欧米人に同じように思われてたんだよなあ、
と思うもののとにかく機内マナーがあまりにもひどくて不愉快だったので、
そのまますておく。
どうせ英語通じないし、私は中国語すっかり忘れちゃってたし。
どうして中国人は、ひじかけを両方とも占領したうえ、隣の席にまではみだして
くるんでしょうねえ?
寝るに寝れず、ぐったりと疲れて上海浦東空港に到着。
関空を思わせるような近代的なデザイン、やたらめったら広い空港に
時代の変化をひしひしと感じる。
けどね。
両替すれば手数料50元(=700円)ってなにそれ?
ぼったくり精神は、意外と公的なところで健在。
22時をすぎた夜の空港を出ると、鼻をつく強烈な異臭。多分川のヘドロの臭いだと
思うんだけど、ねっとりとした夜の空気とあいまって凄まじい。
タクシー待ちの列でうしろにいたアメリカ人おじさんx2が手にしていた
ホテル案内のプリントアウトは、明らかに日本語だった。
え?という顔をしてると、「ねえこれって中国語で書いてあるよねえ?」ときいてくる。
違います。
私たちの持ってるガイドブックに載ってるホテルではなかった(新しいホテルらしい)
ので中国語でのホテル名がわからず。住所だけ漢字表記に直してあげたけど、
あれはタクシー代カモネギ決定だな。
こっちにはミキティがついているから没問題。
運転手とも軽快に会話をはずませる我らがミキティ。
今回は本当にありがとう。
しかし、浦東空港は本当に遠い。空港からのびる高速道路は、まわりに人気や人家と
いうものがまったく無い。片側4車線、とってもきれいに舗装された(←日本や韓国より
よほど良い)高速をがんがんぶっとばして、50分かけてやっと市内中心のホテルに到着。
お泊り&ミーティングはソフィテル・ハイランド。超超高級。
自社の出張だったら、こんなとこ絶対泊まらせてもらえません。
主催者がA社であったればこそ。
レセプションの人は流暢な英語をあやつるし、中国人が本気になれば
日本のホテル以上のサービスを提供するのは楽勝、でしょう。
やっとのことで部屋にたどりついたら、23時半をまわっている。
その後お風呂でカランとシャワーの切り替えに15分ほど悪戦苦闘し
(フランス人のセンスは理解できない)、疲れきって明けがたまで寝付けず。
そして朝7時半、がごーん、げげーんという大騒音にたたき起こされる。
なんとホテルの隣が大工事現場になっており、
朝もはよから多数の重機類がお仕事を始めていたのだった…
最近のコメント